蒼夏の螺旋 “秋の装いは?”

 



何だか変梃子だった夏の余燼は、九月の間もやりたい放題を続けたが、
さすがに少しずつ去りつつあるものか、

 「そうだな、さすがにシャツ一枚じゃあいられないし。」

いいお天気の日に、グラウンドでサッカーやってたりする分には、
あっと言う間に汗もかくけど、
その後ちゃんと着替えないと、
夕方なんかだと ぶるるってしちゃうかななんて。
ホントにそんな身振りつきでやって見せたお元気な奥方だったので、

 「こら。冗談抜きにそういうのから風邪を拾うんだぞ?」

実際の話、油断から風邪ひいたこと、これまでにも何度かあったろよと。
ソファーの真ん中にでんと座したまま、ご意見して来るご亭主だったが。
言いようこそ 叱って言ってるそれにしちゃあ、
その大きな手が“おいでおいで”としきりにルフィを招いていて、

 “説得力、ねぇったらvv”

ダメージデニムのジーンズに、
丸首シャツにざっくりした木綿のカーディガンなんていう。
砕けて ざっかけない恰好をすると、
ゾロもまだまだ随分と若く見える方だが。
それでも、この奥方の無邪気な幼さには及ばない。
胸元へロゴが踊る長袖シャツは襟元が少し深めのそれだが、
その上へ羽織ってるボレロが少し長いめ。
コーデュロイっぽいスムースジャージの、
裾長パンツをはいた小さめのお尻をくるんとおおっていて。

  これって“ジレ”っていうんだと。
  うん、女の子のだ。
  サイズもそうだけどさ、
  素材とか、柔らかくて気持ちいいのが多いんだよな、と。

自分からわざわざ女子向けのを買ってること、
ちろりんと暴露する奥方で。

 「Q街のファッションマートとか行って買ってるんだ。」
 「風間くんとこのお母さんとか、隣の小野寺さんとかと一緒にか?」
 「ううん。女子高生の友達と。」

あっけらかんと言ってのけ、
スイーツの店とかでサ、
可愛いの着てる子に、そういうの何処で買うんだって訊いたら、
店まで連れてってくれたんだ、と。
相変わらずに友達を作るのが神業級で上手な彼であり。
メアド交換したし、暇だったら遊んでくれるしと、
にししと笑ったそのすぐ後で付け足されたのが、

 「まあ成長期だから、そのうち似合わなくなるんだろうけど。」
 「…………そうなのか?」

  あ・今、凄い残念そうな顔したぞ、ゾロ。
  ばばばば、馬鹿言ってんじゃねぇよ。
  したもん。せっかく可愛いのによ とか思っただろ。

言いようでは 詰っている割に、
おいでに誘われて寄ってったまんま、
旦那様のお隣りに腰掛ける…どころか、
そのお膝へ えいと乗り上げ、
当然顔でまたがってしまっている奥方であり。
これ以上はなかろうほど間近になって向かい合い、
丸ぁるいおでこをこつんこと、
ゾロの石頭なおでこへとくっつけると、

 「あんな?
  成長期には違いないけど、
  俺って母ちゃん似だから、あんま大きくはなんないかも知れん。」

シャンクスやエースが言ってたんだ。
ドングリ眸も丸顔も、肩幅が狭いのも体が柔らかいのも、
母ちゃんそのまんまなんだって。

 「…体が柔らかいのも?」
 「うん。母ちゃん、中学高校と新体操やってたんだと。」

ほら、俺って
あ〜んなカッコとかこ〜んなカッコとかも痛がらずに出来……

  「な、ななな何を言い出すかな、
   まだ明るいうちからよ。/////////」

  「ゾロ、真っ赤だぞ?」

  「夕焼けだっ。」

  「まだ3時だぞ?」

変なのと小首を傾げたものの、
ま・いっかと、眼下の頼もしい胸板へ、
わ〜いと擦り寄る屈託の無さよ。
ホンマにもうもう、相変わらず可愛い人達でございますvv





   〜どさくさ・どっとはらい〜  10.10.04.

空に咲く花 サマヘ 素材をお借りしました


  *ちょっぴり涼しい“小寒い”を、
   早々といちゃいちゃの理由にしている新婚さん噺が続いておりますな。
   『蜜月〜』の“ぐりぐり”シリーズ・現代ものVer.ということでvv

   …にしても、この二人ってやっぱり、
   実は奥方よりご亭主の方が純情なのかも知れません。
(笑)

**ご感想はこちらvv*めるふぉvv

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